もし、キミが今ココにいたらまだ私は好きだったのかもしれない
その近くにあったお花畑に行くようにお願いした

我ながらなかなかロマンチックじゃない?

「恋が叶うと噂のお花畑」に誘ってみた

「俺は入らねぇぞ!!」

なんで?

両想いなんでしょ?

じゃあ入ろうよ!!

「良し!行くぞー♪」

こうして半強制的に捕らえて

強引にお花畑に入った

最初の方ではパンジーとかチューリップとか

背の低い花々が続いた

でも途中から向日葵畑が続き、

背が高いため周りの人達が見えなくなった

歩いていくと何か看板が立ってた

なんだろう??

進入禁止だったら折角のムード、崩壊だな

ん?

でもなんとなく

薄ピンクのハートの中に赤ピンクの文字が見える

これはもしや恋が叶う噂の聖地ですか!?


イェーイ!!

私ずっと前からこういう所

好きな人と行きたかったんだよね

それで永遠の愛を誓うの♪

少しずつ近づいていく恋のタイムリミット

残りわずか…

カウントダウン進んでいく

あと10歩

9歩

8歩

7歩

6歩

5歩

4歩

3歩

2歩

1歩…

到着!!

改めて看板を読んでみた

『ココでキスすると永遠に結ばれる』

また?////

私は当たり前のように龍星のキスを

目を閉じて待っていた


けど

なかなか龍星はキスをしてくれない

私達って両想いなんだよね?

まだかな?

まだ?

まだなの…?

待ちきれなくて私は

目を開けた

そこには深刻そうに悩んでいる龍星がいた

なんでそんな顔してるの?

なんで?

両想いなんじゃなかったの?

「ごめん…ココでキスできない」

冷たい視線で

どこか悲しそうな目を私に向けて

龍星は告げた

私はぐっと涙をこらえた

泣き虫な私にできることはね

寄り添って笑顔見せるだけ

急に雰囲気が悪くなっちゃって

息が詰まりそうな世界…

「ごめんな…いつかはちゃんとココでキスしよう」

あーあ…

先伸ばしです…

何考えてるのか全然わかんないよ

でも両想いなのわかってるし

この先ずっと別れる気はないから

『いつか』って言ったんでしょ?

私達って恋人同士なの?

じゃなかったら何この曖昧な関係…

しかも相手はモデル

不釣り合いな恋です…

どうなっちゃうの?

普通を装う演技もね許して!

下手すぎちゃってまたバレちゃったけど(汗)

「バレちゃいましたか…」

どうにかこうにか冷静女子ぶって

強がって話してますが

内心涙ポロポロなんです

もう気づいてよバカ!!


なんだかんだいまの時間は2時半

さっきまで

飲食店大行列問題が発生してたけど

今は時間帯がずれて人が少なくなっていた

だからあまり並ばずに

お昼ご飯を食べることができた

何かを食べた記憶はあるけど

もうテンションの下がり様と

涙腺崩壊を抑えるのと

息が詰まりそうな世界を

生き延びていくのに必死で

何をどこに食べに行ったかは覚えてない


結局あまりその後は楽しくなかった

楽しめなかった

龍星は何事もなかったかのように

私にさっきまでと同じ調子で

気軽に話してくる

でも今はその優しさが私を苦しめる

私、龍星のこと…


キライになっちゃいそう


いっそ嫌いになっちゃえば楽なんだけどなぁ

何個かアトラクションに乗ったりした


「そういえば今何時ー?」

「5時半。」

気付けばヤバイもう5時半

ココからは

シャトルバスが熊本駅まで出てて

その熊本駅から家までは

バスで帰らなくちゃいけないんだけど

でもシャトルバスで熊本駅まで1時間

そこから家まで30分…

つまり今から帰るとしても帰りつくのは7時

門限6時なんですけど…

「ヤバイヤバイ龍星!!帰ろう!!」

「え…?なんで?w」

「私門限6時!!」

「う…マジか!急ぐぞ!」

それから私達はダッシュで

シャトルバス乗り場にむかった


バス停到着!

あ!バス来てる

ラッキー!

人が多くて満員っぽかったから

次を待つことにした

でもシャトルバスがそんな都合よく

ポンポン来るはずもなく

30分後にしかバスは来ないらしい

只今の御時刻は6時5分

どうしよう…

6時半のバスに乗っても

8時にしか着かない

門限2時間オーバーとか越えすぎ

キャリーオーバーレベルにすごい

いやいやホントにどうしよう

でも看病って言って来たからいいのか

よし!気にしない気にしない

でも会話が持たなかった

私の持ち合わせてきた会話はどれも

「そうだね」

の1言ですぐ終わっちゃって

また2人沈黙、気まずいの


シャトルバスが来た

私達は1番前に並んでいたから

1番に座れた

1番後ろの長いイスの1つ手前の

右側の2人席に座った

私は龍星よりも酔うタイプだから

窓側に座った

カーテンを閉めて

カーテンの中に入り込んで外を見ていたら

田舎だから田んぼ続き

ぼんやり見ていたら飽きてきて

いつも間にか寝ちゃってたらしい

起きると私達は支え合うように

寄り添って寝ていた

起きたらもう出来ないことだと思ったから

私はまた寝た

プシュー…

「熊本駅前ー。熊本駅前ー。」

「御乗車ありがとうございました」

いつの間にかシャトルバスは

熊本駅に着いていた

これからまたバス…

しかももう7時半過ぎ

外は真っ暗になっていた

帰りつくの何時になることやら…

次のバス停に移動した

幸運なことに

バスがちょうどたった今到着した

乗車したお客さんは誰もいなくて

貸しきりバス状態だった

今度は寝なくて

ちゃんと起きたまま

ずっと都会のキラキラした夜景を見ていた

はい!

今度はすぐ到着

あんまりバス停にとまんなかったから

予定より早く着いた

今の時刻は7時45分

これから歩いて帰らなくちゃいけない

しかも龍星の家は私の家までの途中にある

シーーーーン…

沈黙続きで

私はなんとなく龍星の後ろを歩いた

龍星の家到着

「バイバイまた明日な」

「じゃあね♪今日はホント楽しかった」

今の私が彼にできる精一杯の言葉だった

そして龍星の連絡先を教えてもらった

帰り道を1人で歩いていたら

5分も経ってないのに

また会いたくなっちゃって

まだ帰りたくなくなるの

でもねやっぱりワガママは言えない

困らせたくない

ガチャッ!

家に着いた

「ただいまー」

私は何事もなかったかのように

通常通り生活することにした

「おかえりなさいー…!?」

私がリビングに入った瞬間静かになった

意味がわからずに私は首を傾げた

「ん?どうかしたの?」

ソファーに座ってテレビを見ていたはずの母と弟にきいた

「…どうしたの、はこっちのセリフよ!」

お母さんの顔は青ざめていた

けど視線的に

私の目よりも下の方を見ていた

私も下を見てみると…

あぁーーーーー‼

声にならない叫び声が私の中を

すさまじく響いた

なんと私、痛恨のミス

龍星の服を着たまま、着替え忘れたの

どうしようかな…

でも私まで驚いたような素振りをすると

怪しまれるから

もう一瞬にして嘘をついた

「あー服?汚しちゃったからかりたの」

母は正直何にでも騙されやすいから

あっさり安心しきって頷いた

大好きなお母さん

嘘ついてごめんね、でもこれは許してよね♪

なんとなく

この時期くらいから嘘つきになったような気がする
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