それはちょっと
「――やっぱり苦いな…」

ペロリと舌で唇を舐めて味を確かめるその姿は何だかエロチックで、私の心臓がドキッ…と鳴った。

「――ま、また…」

またキスされた…!

昨日に引き続いて、今日もキスされた…!

そのことにワナワナと躰を震わせていたら、
「2回目だね」

彼はフッと、眼鏡越しに微笑んできた。

2回目――ごもっともである。

昨日今日と、私は部長に2回もキスされた。

「――な、何でキスしてきたんですか…?」

震える声でそう聞いた私に、
「口寂しいからかな」

彼はそう言って笑ったのだった。

「はっ…?」

全くと言っていいほどに意味がわからなくて聞き返した。

“口寂しい”って、何ですかその意外な答え方は。
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