それはちょっと
「――んっ…」

部長の唇が離れたかと思ったら、また唇を重ねてきた。

チュッと、唇に触れたその音に躰がビクリと反応したのがわかった。

後頭部の大きな手のせいで、部長から逃げることができない。

部長は一体何を考えているのだろうか?

そう思っていたら、
「――ッ…」

部長は唇を離してくれた。

「――かわいい…」

私と目があった部長は眼鏡越しからフッと笑って、また私と唇を重ねた。

今日は何回キスをするつもりなんだろうか?

部長の考えていることが全くと言っていいほどによくわからない。

「――ッ…」

部長の唇が私から離れたのと同時に、後頭部の大きな手も私から離れた。

「――ぶ、部長…?」

震える声で、部長を呼んだ。
< 41 / 90 >

この作品をシェア

pagetop