それはちょっと
「ふーん」

そう返事をした部長の声が聞こえたかと思ったら、目の前にお盆が置かれた。

「えっ…」

私が驚いていることに気づいていないのか、部長は椅子に腰を下ろした。

「あの…」

「僕は君と食事がしたいんだ」

言いかけた私をさえぎるように、部長は箸を手に持つと食事を始めた。

「私は1人で食事がしたいんです」

私はそう言い返したけど、
「そう」

部長は一言だけ返事をしただけだった。

周りの視線がやけにこっちに集中しているのは、私が自意識過剰だからだと信じたい。

私よりも部長が目立っているんだと、そう思いたい。

もう早く食べて、早く立ち去ろう。

私はそう言い聞かせると、うどんをすすった。
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