それはちょっと
――部長とクリスマスを過ごすのも悪くないかも知れない。

そんなことを思っている自分に気づいた。

1人で過ごすよりも、部長と一緒に過ごしたいと思っている。

別に他の人と過ごしてもいい訳なんだけど、部長と過ごしたいと思っている。

「南くん?」

返事をしない私に部長が名前を呼んだ。

名前を呼ばれただけなのに、心臓がドキッ…と鳴ったことに気づいた。

言われなくても、もうわかっている。

この気持ちは何なのか、もうすでに答えは出ている。

「――部長…」

呟くように部長を呼ぶと、彼の頬に自分の手を添えた。

「えっ、南く…」

「――ッ…」

名前を呼ぼうとした彼の唇を私は自分からふさいだ。
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