それはちょっと
彼の指が私の頬に触れて、
「でも南くんが大事なことには変わりはないけどね」
と、言った。

部長の端正な顔が近づいてきて、
「――ッ…」

私の唇と彼の唇が重なった。

お互いの唇が離れると、
「…本当に、そう思っているんですか?」

私は部長に聞いた。

「当然だよ、僕の1番は南くんなんだから。

その南くんがお嫁さんになってくれて、僕はとても嬉しいよ」

「まだ結婚していませんよ、部長」

私が言い返したら、
「近いうちにしたいと思っているんだけどなあ」

部長はそう言って、ジーンズのポケットから何かを取り出した。

「えっ…?」

小さな箱が目の前に差し出された瞬間、私は部長の顔を見つめた。
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