君を愛した時間〜残した宝物
夕陽が沈み、オレンジ色の空には、小さな星が顔を出し始めていた。
「今日は、ありがとう楽しかった……家、上がっていく?」
私は、早く一人になりたかったが、言ってしまった。
「いいのか?」
「何を今更遠慮してんのよ…上がんなよ」
私は、作り笑いをして直君を家に入れた。
「ただいま」
キッチンから、エプロンで手を拭きながら、おばちゃんが出てきた。
「お帰り」
「今晩は!」
直君は、おばちゃんに頭を軽く下げた。
「お帰り、直」
「おばちゃん私、着替えてくるから、…直君待ってて」
「分かったわ、さっ!直、上がりなさい」
「お邪魔しまーす!」
部屋に入ると、部屋は薄暗かった、鞄をベッドに投げ私は、ベッドに横になった。
「はぁー…」
《心…》


――仕事で疲れ切った体を、俺はベッドに預けていた。
「はぁー…」
本当は、仕事で疲れたんじゃない、セラに逢えない…話がしたいのに…逢えない…それが、俺の体と心を疲れさせていた。
「セラ…逢いたい」
(ガチャッ!!)
ドアが開く音がした。
「心!?居ないのか?!」
誠の声だ。
「居る…」
暗い部屋の中で、俺は返事をした。
「居るなら!部屋の電気点けろよ!」

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