君を愛した時間〜残した宝物
握った手は、優しく私の頭を撫で、スッと手は消えた。
『心?どこ!?何処に居るの!?…、心!!』
私は、膝から崩れた…………。
「セラ!?、セラ!?」
名前を呼ぶ声で私は、ゆっくりと目を開けた。
「セラ!」
私の横には、直君が居た。
「…直君」
「気付いたか?!」
「私…」
「倒れたんだ、どこか痛むところは無いか?!」
「うん…平気」
私は、自分の部屋の天井を見つめた。
「セラ、悲しい夢でも、見てたか?…」
「夢……」
「あぁ、今にも泣きそうな顔してたから…」
「……」
「セラ?」
「…あっ、夢見てた…霧の中で私が独りぼっちで…光が見えて……私は、その手を…握りしめた…」
「じゃー、その霧の中で現われた手は、俺の手だな!」
「えっ?」
「だって、ほらっ!」
「あっ…」
私の手を、直君は優しく握っていた。
「セラをベッドに寝かせてから、ずっとセラの手を握ってたんだ」
「ずっと?…」
《……》
「あぁ」
直君は、私に微笑んだ。
「ありがとう…」
「じゃー帰るよ!明日また来るから!ゆっくり寝ろよ!」
「うん」
「セラ」
「ん?」
《……》
直君は、私にキスをした。
「愛してる」
「…私も」

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