君を愛した時間〜残した宝物
「…セラ、ごめんな幸せにしてやれなくて……、行けよ……彼、心君の所へ……、もう我慢しなくていいんだ……、本当は俺がセラを幸せにしたかったけど……、ごめんな……」
直君は、私の頭を撫で優しい笑顔を見せた、目には薄らと涙が見えた。
「幸せに……、幸せにして……直君が私を……」
「えっ!?今なんて……」
「ううん……、私が直君を幸せにさせる……、傍に居るよ……、直君の傍に」
「セラ!!」
直君は、強く私を抱きしめた……、私も直君の背中に両手を回し抱きしめた。
「本当に良いのか?……、彼の事……」
私は、頷いた。
「…心には、ちゃんとした彼女が居る……、もう関係ないから」
私は、直君の肩に顔を寄せた。
「……」
《心…あなたも、幸せになってね、私も幸せになるから……》
「指輪…受け取ってくれるか?」
「うん」
直君は、私の左手の薬指に指輪を付けた。
「二人で幸せになろう…」
「うん…、二人で…」


――どのくらい時間が経っただろうか……俺は、公園から動けずに居た。
(シュボッ…)
「はぁー…あいつ帰ったかな…」
俺は、煙草に火を点け呟いた。
《セラ、今誰と居るんだ?…俺は今、独りぼっちだ…》
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