君を愛した時間〜残した宝物
「冗談だよ!行ってきな楽しんでこいよ!」
直君は、私の頭を撫でた。
「うん…、じゃー…」
私は、車から下り直君を見送った。
《ごめんね直君…》
私は、信号を渡り防波堤に向かった。

――真っ赤な夕焼けが、海を染めていた。
セラとの約束の時間より一時間早く、俺は防波堤に着ていた。
(シュボッ…)
「ふぅー…」
俺は、赤に染められた空に向かって煙をだした。
「こらっ!」
《!!》
俺は、後ろを振り向いた。
「セラ!ビックリさせるなよ!」
後ろに立っているセラの全身が、夕焼けに染まっていた。
「煙草!そんなに吸って!病気になるよ!」
そう言ってセラは、俺の隣に座った。
「なんねぇーよ!」
「なるね!…、だいぶ待った?」
「待ってねぇーよ、俺さっき着たばっか…」
心は、口に煙草を加えて煙をモクモクとだした。
「ふーん…それにしては、缶に吸い殻がいっぱいだね?…」
「えっ!あっ…」
心は、ちょっと恥ずかしそうに缶を隠した。
「今日ね…ドレス見てきたの…」
「…そっか、セラのドレス姿、綺麗なんだろうな…」
「…どうだろう…」
「綺麗だよ…、絶対…、…セラ、手出せ……」
「えっ?」
「いいから!」

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