君を愛した時間〜残した宝物
「チッ!、…早く言えよ!!」
(ガチャッ!)
「うぃー!!これ新居祝いってやつ!」
誠は、そう言ってコンビニ袋に入ってるビールを俺にくれた。
「ビールかよ…」
「あっ!良いじゃん!!良い眺めだな!!」
誠は窓から顔を出した。
俺は、畳にビールを置いた。
「お前何で…」
「何で家が分かった…親方だよ!さっき親方がスタンド来て聞いた!」
誠は、ちょっと不満そうにビールを開け飲んだ。
「親方か…」
「でも、どうした?急に?」
「気分転換だよ!」
「気分転換ねぇ〜…、…セラとはどうなんだ?」
「…どぉーって別に」
「友達で居る事辛くねぇーのか?…」
「…辛くてもいいんだ…セラに逢えれば…」
(ドンッ!)
誠は畳に、ビールを叩きつけるように置いた。
「何で!何で言わなかった!沙羅と直って奴が邪魔した事!それを言えばセラは、直と結婚しねぇーだろ!」
「いいんだ…あいつが、セラが決めた事だ……」

その後、誠は何も言わず黙っていた。
罠の事を、セラに言ったらセラを奪う事も出来ただろう…だけど、セラが決めた事……選んだ道なんだ……。
《俺は、セラの傍に居るだけで幸せだ……》
俺達は、朝まで飲み明かした。
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