君を愛した時間〜残した宝物
――朝から、天気が悪く海風が冷たい……もう夏が、終わってしまう。
《今年の一番の夏の思い出……心、あなたに逢えた事………》
「ちょっといい?」
おばちゃんが、私に話し掛けてきた。
「うん…」
おばちゃんは、私の隣に座り海を見た。
「…お父さん…気にしてるのよ、セラの事…」
「……」
「お父さん、セラを無理に直と結婚をしようとしているんじゃないかって…俺がセラの幸せや人生を駄目にしてしまうって……、セラ、私には本当の気持ち聞かせて?結婚したくないのよね?……」
「……」
おばちゃんは、私の顔を横から覗いた。
「言って!?聞きたいのよ!セラの気持ち!!」
「……結婚……するわ……直君と……」
「セラ!!」
「言ったでしょう……直君は、ずっと私の傍に居てくれた…今度は私が……」
「幸せにならないわ!!誰も!!皆が不幸になるだけよ!セラ!」
おばちゃんは、私の腕を強く握った。
「ごめん、おばちゃん……私、家に帰る……」
私は、夕日と海に背中を向け歩きだした。
「セラ!!」
「……ごめんね、おばちゃん……」


――俺は、夕日と海を眺めながら煙草を加えていた。
《セラ……逢いたい……》




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