君を愛した時間〜残した宝物
――私は家に向かわず、足は心の家に向かって歩いていた。
――「心！悪いが今日、残業してくれないか！？」
親方は、ヘルメットを取って俺に言った。
「あっ、はい！分かりました！」
「悪いな！！」


――私は心の家の玄関の前に着いてしまった。
「……」
何も考えずに私は、来てしまった。
「心……」
心は、まだ帰ってきていないのか部屋の明かりは着いていなく、私は玄関の前に座り込んだ。


――夕日は沈み、辺りは真っ暗で、現場の明かりが眩しかった。
「お疲れさまでした！」
俺は、現場の仲間に頭を下げた。
「お疲れ！！悪かったな！ゆっくり休んでくれ！」
「はい！」
コンビニでビールを買った俺は、新しいアパートに向かって歩いた。
「……あっ！」
アパートの前で俺は、前の家に携帯電話を置きっぱなしだった事に気付いた。
「明日で……いいか……」
俺はアパートの階段を上がり玄関に、鍵を差し込んだ。
「………」
なんだか、分からないが前の家の事が気になり、俺はコンビニの袋を玄関の中に入れ鍵を閉め、前の家に向かった。


――私は、ずっと玄関の前から離れず、座っていた。
「ゴホッ！…ゴホッ！ゴホッ！…」

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表紙・目次

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