君を愛した時間〜残した宝物
――ポストに鍵を入れ私は心の部屋を出て、海に向かった。
砂浜を歩き陽射しを浴び、心地いい海風におされながら歩いていた。
遠くに目を向けると、店からおばちゃんが、看板を立てていた。
「…おばちゃん」
私は立ち止まった。
おばちゃんは、額に手をあて蒼い空を見上げ、立ち尽くしている私を見つけた。
おばちゃんは、一度店の中を見て私の元へ走ってきた。
「セラ!!」
「ごめん…おばちゃん」
おばちゃんは、私の両腕を掴み顔が険しかった。
「どこに行ってたの!?昨日は大変だったのよ!!お父さんと直が、警察に連絡した方がいいって!!」
「警察に!…」
「そうよ!今まで一度も無断で外泊なんてしなかったから!!皆、心配して…」
「で…警察には?…」
「止めたわ…友達の所に泊まりに行ったのかもしれないって、でも今日もし帰って来なかったら警察に連絡するって…」
「そう…ごめんなさい…心配かけて…」
なんだか、自分でも不思議なくらいに、冷静な自分がいた……。
「どこに居たの?!誰と居たの?!」
「……心」
おばちゃんは、私の腕を離した。
「やっぱり……」
「ごめんなさい…」
おばちゃんは、大きなため息をついた。
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