君を愛した時間〜残した宝物
――(コンコンッ…)
「はい?」
「セラ、お父さんが話がしたいって…下に下りてきてくれる?…」
おばちゃんは、部屋のドアを開けずに言った。
「…分かった」
私が、昼間店に顔を出した時、おじちゃんは少し目に涙を浮かべ(無事に帰ってきてくれて良かった)と、私を抱きしめた。
私は、義足を付け居間に向かった。
「…おじちゃん…」
おじちゃんは、珍しく晩酌をしていなかった。
「そこに座りなさい…」
私は、おじちゃんの真っ正面に座った。
「…昨日の事をまだ…聞いていなかったから……聞こうと思ってな…」
おじちゃんは、私と目を逸らしていった。
「昨日の事……」
「あぁ…」
「…昨日は……」
私は、おばちゃんと目が合った、おばちゃんは、おじちゃんの横に静かに座って私を見ていた。
「昨日は?どうした?どこに居たんだ?…」
「…昨日は……昨日、私は………友達と居たの!何だか急に友達に会いたくなって……それで私……」
私は、おばちゃんの顔を見る事が出来なかった。
「…そうか、ならいい…」
「…部屋に戻っても…」
「…あぁ」
居間から逃げるように出た私は、階段の手摺りに手を置いた。
「……」
(ピンポーン!)


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