君を愛した時間〜残した宝物
(ガチャッ)
「ただいま…」
玄関を開け、俺は誰も居ない部屋に向って言った。
部屋の中は蒸し暑く夕陽に部屋は染められていた、俺は、部屋の窓を開けた。
(ガラガラ)
「はぁー…」
俺は手摺りに両手を置いた…風に乗って微かに海の匂いがする。
(プルルルル…プルルルル)ベットの上に置いてある携帯が鳴った。
(ピッ)
「もしもし…はい、大丈夫です。分かりました30分後には着けます…失礼します」
(ピッ)
俺は電話を切り直ぐにテーブルの上に置いた弁当を開け食べ始めた。
電話の相手は工事現場の親方からだった、人手が足りないから手伝ってくれと…普段、俺はパチンコ屋で働いているが、パチンコ屋に働く前は誠が働いている、店長の紹介で工事現場で少し世話になっていた。
俺は飯を略噛まずに食べ、作業服に着替えタオルを持ち部屋を出た。
長い下り坂を走り踏み切りを渡りと国道に出た、国道の前は海が広がっている。
俺は海を横に道路を歩き進むと、工事中のランプが見えた。
飯を喰って直ぐに走りだしたせいか脇腹が痛みだした。
「いってぇ…」
右脇腹を押さえ、小走りをした。
現場はコンビニの前だった、着くと親方は道路に穴を開けていた。
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