君を愛した時間〜残した宝物
――部屋に電球の明かりが点き私達は、電気の下でご飯を食べていた。
「…ここで、暮らすなら…買い物に行かなきゃね…」
私は、おにぎりを持ちながら言った。
「そうだな…、色々必要な物を揃えないとな…」
「うん…」
「あっ、明日仕事の帰りにでも、義足取りに行ってくるから…」
「…うん、お願い……ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ……」
「大丈夫か!?風邪でも引いたか!?」
直君は、私の額に手を当てた。
「…平気よ」
「熱は無いようだな…」
「噎せただけよ…」
「そう言えば検査…」
「あっ…明後日だ…」
「じゃー朝、送っていくよ」
「うん、ありがとう」



――俺は、翌日仕事を終え、足速にセラの店に向かった。
俺は、店の外から覗き、おばさんを小声で呼んだ。
「おばさん!セラから連絡は!?」
「まだ何も連絡が無いのよ…」
俺の全身から力が抜けた。
「……セラ」
「…検査が有るのに、それ迄には帰って来てくれな…」
「検査!?検査ってなんです!?」
俺は、おばさんの腕を掴んだ。
「定期的に検査をしないといけないのよ…病気が再発していないか…」
「ちょっと待ってください!セラの病気は完治したんじゃ…」



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