君を愛した時間〜残した宝物

「松村先生…」
松村先生は、優しい笑顔で、私の頭を撫でてくれた。
「あっ！そうだ！悪いがもう一度始めっから検査をし直したいんだが…いいかな？！」
先生は、カルテを見て言った。
「はい…あの何か？…」
私は、カルテを見ている先生の顔を覗いた。
「昨日、検査してもらったけど、また１からしてもらいたいだけだよ！…確認のためにもね…」
「…確…認…」
私は、ちょっと不安になったが、それ以上は松村先生に聞かずに、すべての検査を受けていた。
《…私の体……もう…大丈夫よね…》
やっと検査が終わったのは夕方近くだった。
「セラちゃん、お疲れさま！疲れたでしょう！」
待合室で座って居た私に看護婦さんが、声を掛けた。
「はい、ちょっと…」
「そうよね！もう松村先生の所に戻ってていいから」
「はい…」
看護婦さんは私に、そう伝えてから検査室に戻った、私は少しの間、椅子から立ち上がる事が出来ず、おじちゃんの言葉を思い返していた。
《…おじちゃんには、時間が無い……本当の笑顔……花嫁姿……私は、おじちゃんに花嫁姿を…》
「セラちゃん？」
《！》
「あっ！ごめんなさい！」
看護婦さんが、不思議そうに私を見てた。