君を愛した時間〜残した宝物
「…セラを待っているの?」
「はい」
おばさんは、カバンから鍵を出し玄関を開けた。
「…中で話しましょう」
「………」
おばさんは、そう言って中に入った。
「座って…」
「はい…」
俺は、おばさんの前に座った。
「…セラから、話は聞いたわ」
「…はい」
「…セラね…もう、ここには帰ってこないわ」
「えっ!?」
「心(こころ)が、疲れたみたいなのよ…直とあなたを傷つけている事が…」
「今セラは、どこに!?」
おばさんは、目をそむけた。
「…ごめんなさい、教える事はできないのよ…」
「教えてください!!お願いです!セラに逢いたいんです!逢って話が…」
「セラが!…自分の居場所は教えないでくれって…」
「…なんで…」
「心君…セラは、あなたの事を愛しているわ…直と別れてあなたの所には行けないって、行きたくても無理だって…」
「……セラ」
俺は、頭を抱えた。
「そっとしてあげて…セラは苦しんでいるわ」

俺は、おばさんに携帯電話の番号を渡し、家を出た。
≪セラ……辛い!セラに逢えない時間が辛い…俺達は、また逢う日がくるのかな……≫


私は、心と直君が来た事を聞いた。
あれから13日が過ぎた。
< 237 / 356 >

この作品をシェア

pagetop