君を愛した時間〜残した宝物
友情〜愛蔵
私は、病院の傍に一人でアパートを借り、四畳半の部屋に住んでいた。
おばちゃんは、お腹の子に何かあったら大変だからと病院の傍を選んでくれた。
おばちゃんは、私が再発した事を、まだ知らない。
松村先生は、私との約束を守って、おばちゃんには知らせていない。
薬も、お腹の子に影響が無いものを飲んでいるが、松村先生は、病気にたいして効果が無いだろうと言っていた。
「…死にたくないよ…心……」
涙が、お腹の上に落ちた。

(コンコン)
私は、病室の扉をノックした。
「…おじちゃん?起きてる?」
ベッドの上で、おじちゃんは手を上げた。
「起きてるよ」
2日前から、おじちゃんの体調はよくなっていた。
「調子良さそうだね!?」
私は、リンゴを持って言った。
「当たり前だ!早く治して、孫と遊びたいからな!」
≪………≫
おじちゃんは、優しい笑顔で言った。
「…そうだね!…リンゴ食べるでしょう?」
「あぁ…」
おじちゃんは、ベッドの上から窓の外を見ていた。
「おばちゃんみたいに上手に、皮剥けるかなぁ…」
私は、ナイフを手にして言った。
「…上手くやろうとしなくていいんだよ…自分のペースでやればいい…」


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