君を愛した時間〜残した宝物
俺は、仰向けになって夕空を眺めていた。
「…セラ…俺も…消えてもいいか…」
俺は、凪がれる雲を見て呟いた。
「…辛い」


――あれから私は、時間をおいて病室に戻った。
おじちゃんに、直君が来た事を聞くと病室には、姿を見せていないと聞いた。
廊下では夕食の配膳が忙しくころ、おばちゃんが病室にやってきた。
「夕食に間に合って良かった!」
おばちゃんは、息をきらして、久しぶりに笑顔を見た。
「ごめんな、お母さん」
おじちゃんは、起き上がり言った。
「いいんですよ!」
「あぁー!いい匂い!早く食べたい!」
私は、おばちゃんが持ってきた煮物をテーブルに出した。
おばちゃんと私は、おじちゃんを間に、久しぶりに楽しい夕食を食べた。

「あぁー…今日は楽しい夕食だった…」
おじちゃんは、布団の中で天井を見ながら言った。
「そうですね…久しぶりに三人で食事ができて」
おばちゃんは、みかんの皮を剥きながら言った。
「本当…楽しかった」
私は、おじちゃんの手を握りながら言った。
「…セラ、元気な赤ちゃんを産むんだぞ……」
「…おじちゃん…」
私は、おじちゃんを見た後に、おばちゃんと目が合った。





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