君を愛した時間〜残した宝物
「…セラ…受け取ってくれるな?」
俺は、セラの左手を握った。
「…心」
「セラ!」
「…指輪を受け取って欲しい」
「はい…」
私は、心の目を見て返事をした。
セラの目からは、大粒の涙が流れた。
俺は、セラの左の薬指に指輪をつけた。
「おめでとう…セラ」
「…ありがとうお母さん!」


それから私達は、直ぐに一緒に住み始めた。
心が、お母さん一人じゃ可哀想だと言ってくれて、私達三人での生活が始まった。
毎日が楽しく幸せに1日1日が過ぎていき…お正月を迎えた。
「…お正月の挨拶できないから…どうしようか?」
炬燵に入ってミカンを食べる心とお母さんに言った。
「…考えてもしょうがないわ…」
「…仲良くやっていこう…で、いいんじゃない?」
「二人とも何よ!」
「そんなに力んで言ってたら、赤ちゃんがビックリするわよ!」
お母さんは、いつもの調子で言った。
「そうだ!…赤ちゃんの名前考えないか!?」
心は、突然言い出した。
「そうね…そうしましょう!」
お母さんと心は仲が良い…私達三人は、いい関係で暮らしている。
(こんにちは!!)
玄関で、人の声が聞こえた。
「誰?」
私達三人は目を合わせた。
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