君を愛した時間〜残した宝物
「…どうすれば…」
「…専門の薬を、本当は飲ませたい…」
「…薬を変えれば、いいのか?」
「…あぁ、でも一つ言っておかなきゃならない事が…」
「…何だ」
「…影響が有るかもしれないんだ…お腹の子どもに…」
【…子どもに…】
「………」
「…心」
直は、俺の肩に手をおいた。
「…もし…このまま薬を飲まなければ…」
「……分からない…」
「……考えさせてくれ……」

俺は、直と別れ防波堤に来た。
「………」
真冬の海は、波が荒れ強い風が、俺の体を押していた。
≪…薬を変えなければ…セラの体は……薬を飲めば…お腹の子どもが……≫
俺は、頭を抱えた。
「…何でだよ…」



――2時間…3時間たっても、心は帰ってこなかった。
≪…心≫
私は、電話の前に立ち受話器を持って、心の携帯電話に電話をした。
(プルルルル…)
受話器の向こうで呼び出しが鳴っているが、心は電話に出ない。
「…心…」
私は、受話器を置き直君の携帯電話に電話をした。



――「…誠…俺は、どうすればいいんだ…このままじゃ…セラも子どもも守ってやれない…」
「…弱音を言うな…まず、セラにこの事を話すんだ…」
「………」



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