君を愛した時間〜残した宝物
セラは口元に手をおいた。
「やっぱりな!流れ星が消える前に願い事を続けて三回言わなきゃダメなんだぞ!!」
「えぇっ!?そんなの無理だよ!続けて三回も…」
そう言ってセラは夜空を見上げた。
「って誰かから聞いたような…」
「あっ!!また流れ星!!」
「えっ!?」
「三回でも何回でも良いから早く願い事を言おうよ!」
「あぁ!」
セラに急かされ俺は夜空を見上げた。


私達は、その後流れ星を5回も観た。
お互いに願い事を胸の中で言った。


≪私に時間を下さい…≫



≪俺の隣にずっとセラが居ますように…≫




―流れ星に願い事をしてから10日が過ぎた頃だった。

「セラちゃん!お腹大きくなったね!」

八百屋のおじさんが私のお腹を見ていった。
「うん!急激に大きくなってきたんだ」
「早く赤ん坊の顔が見たいだろ!」
「うん!」


私は、野菜が入った袋を持って家に向かって歩いた。

暖かい日差しに眩しい太陽…私は、お腹に手をあてた。

「後少しで、あなたに会えるのね楽し…」

≪!!≫
突然、私に目眩が襲った。

「…あっ…」
グラグラと目の前の地面が歪み横を通る人達も歪んで見えた。
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