君を愛した時間〜残した宝物
俺は、震える手でマスクを外した。
「…………」
セラは、ゆっくりと目を開けた。
「…セラ…」
セラは、一度瞬きをして俺の方を見た。
「………心………」
セラは弱々しく、俺の名前を言った。
「…セ…ラ!…」
ずっと長い間聞けていなかった、セラの声を聞き俺は、胸が張り裂ける思いが涙となって溢れでた。
「……ありがとう……」
「…………」
俺は、大きく頭をふった。
「……心が…私を助けて…くれた…」
私は、心の頬に手をあてた。
「……俺は…何も…」
心の涙が私の手に落ちた。
「……私を呼んでくれた……」
「………」
心は、不思議そうに私を見た。
私は、眠り続けていた時の夢を心に話した。
「……だから心は私の命の恩人よ……」
セラは、優しい笑顔で俺に微笑んだ。
「…………」
俺は、何も答える事ができなかった……。
「…心…」
「…ん…」
「……赤ちゃん…心と私の赤ちゃんを見たい…」
目に涙を浮かべセラは言った。
俺は、松村先生に話をして頼んだ。
「お願いします!!」
「……今はまだセラちゃんを動かすのは無理だ!」
「…逢いたがっているんです!」
「その気持ちは分かるが…」