君を愛した時間〜残した宝物
俺は、誠に話をした。
誠は、『もう、何処も散って葉っぱが出てきてるからなぁ…今時期に花見は……』
俺は、仕事帰りに少し寄り道をして桜を探した。
「…………」
――穏やかな時間が、このまま静かに凪がれていくはずだった……心が居てセイラが居て、お母さんが居て天国でお父さんが見守って居る……。
退院してから、10日目の時だった。
「セラ!」
≪!?≫
「何!?大きな声出して!?」
心は、携帯電話を片手に部屋に入ってきた。
「見つかったんだ!!」
「見つかった?」
「あぁ!桜が!桜が見つかった!」
「えっ!?」
セラが、見たいと言っていた桜は、直の連絡で叶った。
その夜セラ、セイラ、お母さん、直、松村先生で綺麗な夜桜を見た。
「セイラ綺麗な桜だね…」
セラは、セイラを大事に抱え桜を見ていた。
「…セラ」
「心、…ありがとう桜を見せてくれて」
セラは、俺の肩に頬を寄せた。
「俺は何もしてない…直に礼を言ってくれ」
「私、知ってるよ心も毎日桜を探していた事」
「えっ?」
「ズボンの裾に葉っぱが付いてた」
「…………」
「ありがとう」
セラは、俺の頬にキスをした。