君を愛した時間〜残した宝物
記憶〜宝物
「………私」
鏡に映る自分の顔は、泣いていた。
「セラ!!」
≪!!…心…≫
トイレの前から、俺はセラを呼んだ。
「…………」
私は、唇を噛みしめた。

壁一枚を挟んだ、奥にセラは居るはずなのに返事がなかった。
「……セラ」

≪……今、心の顔を見たら、私は心に酷い事を言ってしまうかもしれないよ…心…私どうしたらいい……≫

「………セラ…聞いて欲しい事がある……」
「…………」
「…セラの目を見て話したい…出てきてくれないか」

「…………」
「セラ…頼む」
俺は、頭を下げ言った。


「……………」
≪…私に何を言うの…私に何を…≫
私は、耳に手を押しあてた。

「…セラ…」
俺は、街灯の下に座りこんだ。
「…………」
どのくらい時間が過ぎたのか分からない…5分か…それとも10分か…トイレの外は静かさを私に感じさせていた。


「…心」
≪!?≫
顔を上げると直が立っていた。
「直…」
「セラは?」
「中に居ると思う…」
「…………」
直は、目線をトイレに向けた。
「…直、俺…怖いんだ…」

俺は、頭を抱えた。
「…………」
直は立ち上がりトイレに向かって歩き出し、立ち止まった。
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