君を愛した時間〜残した宝物
セラの目には、涙が浮かんでいた。
≪…セラ…泣くな…≫
≪…心…ずっと…傍に居たいよ…≫
――「心…」
ソファーで座っていた俺の後ろから、セラが呼んだ。
「ん?」
振り向くと、セラは綺麗なブルーのワンピースを着て立っていた。
≪…!……≫
「…どうかな…似合っているかな…」
セラは、恥ずかしそうに俺に言った。
「…似合っているよ…綺麗だ…」
「足を無くしてから、初めてなんだ…ワンピース…」
「あぁ」
心は、私を優しい目で見ていた。
「…綺麗な洋服を着て、心とセイラとお母さんと写真を撮りたい…家族写真を…」
「………」
≪セラ…≫
「…ダメかな…」
心は、私から目をそらし下を向いた。
「………駄目…」
「えっ…」
「…な、わけないだろ…」
心は、立ち上がり私の前に立った。
「…心、嫌なら…」
≪!?≫
心は、私を抱きしめた。
「…撮ろう…家族写真…」
「うん…ありがとう」
その日、俺達…家族は、海で家族写真を撮った。
写真に写るセラは、海の輝きに負けないくらい、綺麗な笑顔で、セイラを抱き微笑んでいた。