君を愛した時間〜残した宝物
俺の手に、ゆっくりと小さくセラの心臓の動きが、伝わってきた。

俺は、左手でセラの手を握り、右手でセイラの小さな手を握った。





「おはよう!」

「…ん………」

「遅刻するぞ!!」

≪!!≫

「はぁっ!!…」

俺は、飛び起き辺りを見渡した。

俺の前には、セラがセイラを抱っこして立っていた。


「やっと起きたわね!お寝坊さん!」

そう言って、セラは笑った。

「あっ…、セラ…体調は…」

心は、まだ頭の動きが止まっているのか、フラフラと立ち上がり私を見た。

「平気よ!それより早く支度しなきゃ!本当に遅刻しちゃうわよ!」

そう言って、セラは部屋を出ようとした。

「病院に行かなきゃ!…昨日、直に電話しといたんだ」

「…平気、一時的な事だから」

セラは、俺に背を向けながら言った。

「でも、一応…」

「平気だって言ってるでしょう!!」

≪…!!…あっ…私……≫


「…セラ……」

セラは、突然大きな声で言った。

セラの声に驚いたのか、セイラが泣きだした。

「…ごめんなさい……私……ごめんなさい……」

セラは、セイラを抱きしめ泣きだした。





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