君を愛した時間〜残した宝物
≪!?≫

玄関の、扉が閉まるのを聞き私は、玄関に向かった。


「…お帰りなさい!」

心は、少し寂しそうな顔をしていた。

「…ただいま、セラ」

「お帰りなさい、心」

私は、心を抱きしめた。


「…温かい、温かいよセラ…」

「うん…」




オレンジの灯りが、部屋を照らし、セラは俺の腕枕で、目を閉じていた。

「…セラ?…寝ちゃったか?…」

「……起きてるよ…」

「…旅行でも行かないか…」

「旅行?…」

「あぁ、親方が、早めだが夏休みをくれたんだ」


「夏休み?」

「あぁ、どこか行きたい所は、ないか」

「…ない…」

「無いって…」

俺は、セラを見た。

「何処にも行きたくない…ずっと家で…皆で過ごしていたい…」

そう言って、セラは俺の胸にしがみついた。

「…分かった…そうしよう夏休みは、家族皆で過ごそう…」

心は、私を両手で抱きしめた。

「…ありがとう」


夜に輝く月は、あっという間に沈み、眩しい太陽を大きな空に押し上げた。



≪……神様……後、もう少し……≫



俺の夏休みは、セラの為の夏休み…一分一秒も、無駄には、したくない…。
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