君を愛した時間〜残した宝物
夏休みの一日目は、お母さんが私と心に時間をくれた。

「…静かね」

「あぁ…」

私と心は、庭に椅子を出し、二人で海を見ていた。


「…心、お願いがあるの…」

「ん?」

「膝枕したい…」

「膝枕?」

「うん、心の膝枕で、海を見たい」

「分かりました、お姫様」


心は、にっこり笑って膝を叩いた。

「ありがとう」

私は、心の膝枕で海を眺めた。


俺達は、ただ黙って海に沈む夕陽を見ていた。

「…大事な時間って、時間が経つのが、早いのね」



「…あぁ……寒くないか?」

俺は、トレーナーを脱ぎ、セラに掛けた。

「ありがとう……この服、心の匂いがついてる…」



セラは、服を抱きしめた。


「…何か、俺にして欲しいことないか…」

「…何もないよ…でも、一つだけ…一つだけある…」


「なんだ?」

俺は、セラの頭を撫でながら言った。

「…すべての…心のすべての時間を…私に使って欲しい…ずっと、ずっと私の傍に居て欲しい…」

セラは、沈む夕陽を見ながら言った。

「…当たり前だろ…俺は、セラの傍に、これからも、ずっと…ずっと傍に居る…」

「…ありがとう」

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