君を愛した時間〜残した宝物
「へぇー…んじゃー俺の名前は?」
心さんの友達は、顔を少し前に出し私を見た。
《友達の名前……》
「…すみません」
心さんの友達は、ニッコリ笑いながら言った。
「残念ー!俺は、誠!宜しく!…心の名前だけ覚えないで俺の名前も覚えてよ!」
私は頭を下げた。
「はい!すみません」
「やっぱり、どっかで仲良くなったんだな!?そうだろ?心!?」
「うるせぇー!飯食わないなら帰るぞ!」
心さんは、不機嫌に言った。
「食うよ!怒るなよ!…冷し中華二つね!」
誠さんは、指をピースにして言った。
「はい…冷し中華二つで宜しいですか?」
私は一応、確認の為、心さんに向って言った。
「…」
心さんは、頷いて煙草に火をつけた。
「少々お待ちください」
私は、頭を軽く下げ、その場から離れキッチンに駆け込んだ。
「ふぅー」
私は伝票を胸元に付け、しゃがみ込み大きく息をはいた。
「どうしたの!?また何か有ったの?」
おばちゃんは、菜箸を持って傍に来た。
「うんん!、何でも無い!」
「そう?だって、あの人達この前のお客さんでしょう?!」
「うん、でも本当!何でもないから!冷し中華二つね!」
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