君を愛した時間〜残した宝物

「よいしょっと！」
私は砂浜にベンチとパラソルを出した。
「暑いなぁ」
私は額に手をそえ空を見上げた。
「セラ！いいわよ！中に入ってテーブルでも拭いといて！」
そう言って、おばちゃんは、外に出したベンチとパラソル並べた。
「平気よ、おばちゃん」
「駄目だよ！平気じゃないよ！砂で足元が不安定なんだから！」
「大丈夫よ！慣れたし！」
「いいから！セラは中、支度して」
「ごめんね…おばちゃん…」
「いいんだよ！」
おばちゃんは、むぎわら帽子を被り首元に白いタオルを巻いて笑顔を見せてくれた。
私は天城　セラ ２１歳、１８歳の時に病気になり右足を無くした…骨肉腫だった。
今は義足をして日常の生活を送っている。
私の両親…父親は私が小学校６年の時に蒸発した。
その１年後、母親も居なくなった…。
私が、おばちゃんと言っている人は、母親のお姉さんだ、私はおばちゃん夫婦に引き取られた。
おばちゃんは子供が出来ない体で、昔から私をよく、可愛がってくれていた。