君を愛した時間〜残した宝物
――雨の日から5日が過ぎた……。
今日は朝から雨で、おばちゃんとおじちゃんだけが、店に出ている…私は家で独りぼっち…。
部屋から外を眺め静かに時間が動く…。
「心さん…」
あの日から心さんは、店に来てくれない…。
《逢いたいです…胸が苦しいです…》

――「じゃー!あの子…何て言ったっけ?」
「セラ」
「そう!セラって子、足無いんだ!?」
「あぁ…」
俺は誠に、セラの事を話してしまった…。
セラに対する、自分の気持ちが 何なのかは、相談できなく…イライラした気持ちがあった。
「で?心は、セラの事が好きになったのか?」
誠は俺のベッドの上でビールを飲みながら言った。
「はぁ?俺が?」
俺は誠に背を向け扇風機の前で、少し動揺した。
「どうなんだよ?」
「別に…何とも思ってねぇーよ」
《どうなんだ?俺の気持ちは?何故動揺したんだ?…分からねぇ…》
何だか背中に誠の強い視線を感じた。
「本当なのか?」
「何が!?」
「本当に、心…お前は何とも思ってねぇーのか?!」
「しつけぇーよ!」
「なら、もう行くな…」
「えっ?」
俺は振り向き誠の顔を見た。
誠は、一気にビールを飲み干し、缶を潰した。

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