先生って言う名前の人

みんなが帰っていく中教室に残っていると、
誰もいなくなった教室に福野先生が入ってきた。


「ちゃんと来たんだ、偉い偉い」


福野先生はあたしの頭を撫でながらそう言って、隣の席の椅子をあたしの席に持って来て座った。


解けなかった1問を教えてもらって、お礼を言ってすぐ帰ろうとしたとき、

福野先生はあたしの手首を掴んで言った。


「華ちゃん、悩み事とかない?」


「、、ないです」


一瞬、さっきの先生の変な態度が思い浮かんだけど、福野先生に言うことじゃない。


「そっか。何かあったらいつでも言ってね、
俺華ちゃんのこともっと知りたい」


福野先生はそう言うと、また笑顔であたしの頭を撫でた。



「、、ありがとうございます」



あたしは頭を撫でられるのが好きだと思ってたけど、福野先生にされてもなんにも嬉しくなかった。





、、先生じゃないとやだ。





家に帰ると、今日先生来られないって、とおばあちゃんが寂しそうに言った。


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