先生って言う名前の人

あたしたちに手を振る松本先生と、
その後ろからついてくる福野先生の姿を確認した。



「華ちゃん!可愛い〜!!」

福野先生はあたしの方に一直線に歩いて来た。


福野先生が近付いてくると、

後ろから先生と島田先生がふたりで歩いてくるのが見えた。


先生はあたしを見ないようにしているみたいだった。


「先生、お酒飲んでるの?」

先生が持っていた缶ビールを見てひとみが言う。

「俺はもう大人だからいいの」

「別に悪いとか言ってないじゃん!
ね、梨花かわいいでしょ?」


ひとみは少し後ろに居た梨花の肩を掴んで、先生に見せた。



「可愛いよ、森も可愛いよ」



梨花は照れて何も言わなかった。



福野先生はずっとあたしに話しかけてくれてたけど、あたしはずっと先生の声に耳をすませて、心無い返事ばっかりした。


松本先生はずっとあたしに話しかけてくる福野先生の腕を掴んで行くよ、と言うと、


「華ちゃん、今日とっても可愛い。
変な男についてっちゃだめよ」と言ってくれた。




みんなが可愛いって言ってくれて嬉しかったけど、


先生はあたしと目も合わせてくれなかった。


< 149 / 199 >

この作品をシェア

pagetop