先生って言う名前の人
「つまんないってお前、、」
あたしは立ち止まって、必死で涙をこらえた。
先生の前なんかで絶対泣かない。
「なぁ、高杉晋作知ってるか」
「、、、知ってるよ」
「【おもしろく なき世の中を おもしろく】だぞ。」
、、、急になに言ってんのこの人。
わかったようなことを言われると思ってたのに、拍子抜けした。
あたしは期待を裏切って来た先生の言葉が可笑しくて、
ふふ、と笑いが漏れてしまった。
「、、なんだよ」
「好きなんだね、日本史」
そう言うと先生は少し照れたような顔で、
「なんだ笑えるじゃん。
店の顔よりそっちの方がいいよ」
と言って、また歩き出した。
「うるさい。バイトはやめないから」ーーーーー
あたしは今日、なんだかすごく久しぶりに笑った気がした。