先生って言う名前の人
家に帰ると、おばあちゃんが卒業祝いのごちそうを作ってくれていた。
もう少しであたしの誕生日だから、ハンバーグはそれまで我慢。
今日はいろんな料理がたくさんあって、豪華だった。
おばあちゃんと卒業式の話をしてると、玄関のドアが開いた。
「先生おかえり、泣いてたでしょ」
あたしは走って玄関まで先生を迎えに行って、すぐにそう言った。
「いきなりそれかよ。泣いてない。ただいま」
先生は呆れた顔で笑ってそう言ったけど、
あたしは式の終わりに先生が泣いてるのを、体育館の外から見た。
頑張って我慢してたけど抑えきれなかった、って顔でかっこよく男泣きする先生を見て、
あたしはもっと先生が好きになった。
「渉くんはほんとにいい先生だねぇ。
華ちゃんしっかり捕まえておかないと来年危ないかもね〜ふふふふ」
おばあちゃんはいたずら顔であたしをからかうように笑う。
あたしがなによ、と言うと、先生も優しい顔で笑っていた。
その日は夜中まで3人でたくさんお話をして、
あたしは次の日から高校生ではなく、社会人になった。