先生って言う名前の人
8月になって、あたしは今月いっぱいでお店を辞める、とママに言った。
「そっか、、
華ちゃんが居なくなっちゃうとママ寂しいな」
「、、ごめんなさい。
ママにずっと嘘ついてたんですけど、
あたしほんとは16歳なんです」
ママに嫌われるのは怖かったけど、
嘘をついてる方が苦しかった。
「ふふ、知ってるよ。
ごめんね、あたしも隠してて」
「えっ、、、」
「華ちゃんが制服で歩いてるとこ、駅で見ちゃったの」
ママはあたしの頭を撫でながら、とっても優しい口調で言った。
「ママも高校1年生の時から水商売だから年齢のことは怒ってないよ。
でも華ちゃんのことずっと心配だった」
ママに優しく頭を撫でられて、また勝手に涙が出て来た。
先生の前で大泣きしてから、最近よく泣いてしまう。
「でも今は中村先生が居るから大丈夫ね。
何か困ったことがあったらいつでも遊びに来て。
ほら、泣かないで」
ママは先生がいつも下で待っててくれてることも知ってた。
ママの見えないほど大きな愛は、
あたしもいつかこんな人になりたいと思わせてくれた。