先生って言う名前の人
先生の涙
あたしは先生に手を引かれて、ただ無言で歩き続けた。
先生も何も言わない。
遠回りして駅の近くに来た時、先生が先に口を開いた。
「華、俺は佐藤と恋人にはならないし、
お兄ちゃんにもならない。
家にも行かない、ご飯も食べない。
華と毎日ご飯を食べたのは、、」
そのあとの言葉をあたしは知ってた。
先生だから。
何度も聞くのはもう嫌だったけど、
あたしは先生に掴まれた手を離して欲しくなくて、何も言わずに聞いた。
すると先生は自分でもなんでかわからない、と小さい声で呟いた。
ーーーさっきは先生だからって言ったくせに。
また先生を困らすようなことを言いかけた時、
ちょうど踏切の遮断機が大きい音と一緒に目の前に降りて来た。
先生はぴたっと止まって俯いてる。