先生って言う名前の人
先生の手をぎゅっと握ったまま、家までふたりで歩いた。
もう涙は出なかった。
先生はこんなときどんなことしてもらったら嬉しいのかな、
そればっかり考えて家に着いた。
「華、ごめん。
このまま帰る。おばあさんによろしく伝えておいて」
うん、と言うと先生はおやすみ、と言って背中を向けた。
「待って、先生」
あたしまだなにもしてあげてない。
どうしよう、どうしようって考えてると、先生は振り返ったまま黙ってあたしを見てた。
「なんか、、
、、なんかあったらいつでも言ってね」
あたしは先生の前でちょっと背伸びして
先生がいつもしてくれるみたいに、先生の頭をぽんぽんってした。
背が高い先生の髪の毛は柔らかくて、ふわふわだった。
急に恥ずかしくなって、
おやすみ、って言って逃げるように家に入った。
いつもみたいに部屋の窓から先生の後ろ姿を追いかけたら、
先生はいつもより歩くのが遅かった。