それから、汐帆ちゃんはベッドに横になり深い眠りについた。


寝顔は、こんなに子供みたいに表情が和らいでるのになぁ…。




汐帆ちゃんは、1度も起きることなく朝を迎えた。








「おはよう。」







目が覚めたばかりの汐帆ちゃんに、声をかけた。







汐帆ちゃんは、俺の顔を見てから、ノートにペンを走らせた。






『ずっとここにいたの?』







「…あぁ。


汐帆ちゃん、ちょっといいかな。」








そう言うと、汐帆ちゃんは頷いた。







「まだ、無理して話さなくていいんだ。


でも、汐帆ちゃん…。


生きることを、諦めないでほしい。」





自分を責めないでほしい。





何があったか、分からないけど自分を責めたり傷つけたりしてほしくない。




それから、汐帆ちゃんは俯いて何か考え事をしているようだった。






沈黙の時間は流れ続け、汐帆ちゃんはゆっくりとペンを持って、再び紙にペンを走らせた。






『私は、生きる資格なんて、権利なんてないと思う。


私は、絶対に幸せになったらいけないから。



人を、殺めて自分だけ生きるなんてできない。



だから、この治療も今日で最後にしてほしい。』







そう書いて、汐帆ちゃんは俺に見せた。






「汐帆ちゃん…」





思ったよりも、汐帆の責任感は強く、そして子供とは思えないほどの、考え方を持っていることに気づいた。





もしかしたら、大人の俺たちでさえも持っていない。





大人は、自分が罪に問われたくないから嘘をつき通す。






それから、自分は悪くないと、何事も無かったかのように生活をしている。






そんなずるい大人がいる中で、俺はどうしても汐帆ちゃんに辛い思いをしてほしくなかった。






「分かった…。



でもね、汐帆。



これだけは、忘れないでほしい。



汐帆は、1人じゃない。



必ず、汐帆のそばには俺もいるから。」
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