天神の系譜の奇妙なオムニバス
朝の通学路を、古奈美と並んで歩くリュート。

「あ、プリティープリンセスおはよう!」

「今日もパトロールお疲れ様」

道行く小学生や会社員が、古奈美に声をかける。

どうやら天神地区を守る武装天使というのは本当らしい。

古奈美の妄想乙かと思っていたが。

「おはようございます、皆さんも交通事故に気を付けて、今日も元気に行ってらっしゃい」

まさしく天使の微笑みで返す古奈美。

市民権を得た武装天使もいたものだ。

「なぁ古奈美」

「……」

「あ、そか、プリティープリンセス」

「はい、何ですか?リュート君」

めんどくさい。

「お前の言う、アクアク団ってどんな奴らなんだ?」

組織的な犯罪集団だろうか、或いはもっと超常的な力を持つ集団なのだろうか。

「そうですねぇ…万引きをしたり、引ったくりをしたり、学園でカツアゲをしたり、満員電車の中で痴漢や盗撮をしたり、一般市民の皆さんに迷惑行為を働く悪者達の総称、それがアクアク団なのです」

つまり、古奈美のやっているのは善意の風紀取り締まりのようなものだろうか。

「違います!そういった迷惑行為を働く悪者を操る堕天使の組織が、アクアク団なのです!」

あーはい、わかったわかった、そういう事にしておこう。

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