天神の系譜の奇妙なオムニバス
「いちいちガッカリさせられるぜ、この天神学園ってとこは…」

小さく舌打ちするリュート。

「俺が親父やオフクロから聞いたのは、とにかくすっげぇ楽しい場所なんだって…実際ここに来てみても思ったぜ。色んな種族の連中の寄り合い所帯なのに、争いも小競り合いもなく、和気藹々と過ごせる場所…と思ってた。それが、いざ蓋を開けてみりゃあ…」

リュートは床に横たわる原田を見る。

「こんな偉そうで癇に障る奴が、デケェ顔して幅利かせてる胸糞悪ィ場所だったなんてな」

「癇に障るのは、君が風紀を乱しているからですよ」

手にした愛刀をスラリと抜く優男。

「自警団だって、風紀を乱さなければ咎めたりしない」

「風紀を乱すってのは、お前らに逆らうって事か?お前らの顔色窺ってビクビクしてんのが、風紀を守るって事か?」

「……」

切っ先を向ける優男。

「自警団一番隊隊長・沖田 蒼次郎(おきた そうじろう)、風紀取り締まりを執行します」

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