天神の系譜の奇妙なオムニバス
「随分と汚ぇやり方だよなぁ、自警団の奴ら騙して、自分の駒にするなんてよ!」

リュートは吠えた。

「なあ、ダンドリッジ!」

そう。

自警団団長・近藤 敢を名乗って隊員達を扇動していたのは、ダンドリッジ・タチバナだったのだ。

「汚いものか」

ダンドリッジは悪びれもせずに言う。

「姿形こそ幻術で変えたが、俺は自警団の連中に思想を語ったに過ぎない。共鳴したのは、あくまで自警団の連中…その証拠に、俺と反りが合わぬその女は、自警団を脱退した」

顎をしゃくって古奈美を指すダンドリッジ。

「俺が騙したのではない。自警団の連中は、自分の意思でヴラド・ツェペリの体制を崩壊させようと行動したのだ」

「あー、能書きはもういい」

リュートは拳を鳴らす。

「狡猾なお前のやり方が、どうにも気に入らねぇ!ぶっちめる!」

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