天神の系譜の奇妙なオムニバス
夜気に冷やされた風に乗って、200メートルを超える高さの天神ヒルズへと飛翔するダンドリッジ。

その夜気も、火災によってすぐに熱を帯びていく。

屋上から、助けを求める人々の姿が見えた。

10や20ではない。

「チッ」

ダンドリッジは舌打ちをする。

吸血鬼が人助けなどと。

みっともない事この上ない。

知っているぞ。

俺はこんな事をベルにさせられるせいで、『天神のバットマン』などというカッコい…赤面ものの渾名を付けられているのを。

何と腹立たしい事か。

「バットマンだ!バットマンが来てくれたぞ!」

そう叫ぶホテルの宿泊客をギロリと睨むダンドリッジ。

「今バットマンと言ったな。お前は一番に助けてやる。他は後回しだ」

「えええっ?」

ダンドリッジ大人げない。

奔放な所は母に似たのか。

昼間こそ大人しいが、夜は妖艶な顔を見せる母に。

< 16 / 770 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop