天神の系譜の奇妙なオムニバス
屋上から助け出した人々を、地上へ、消防の梯子車へ、天神ケーブルテレビの取材ヘリへと避難させ、今度は屋内へと侵入するダンドリッジ。

そう簡単には死なない肉体とはいえ、この業火は流石に堪える。

防火シャッターが下りてしまっているが、吸血鬼のダンドリッジには聞こえる。

シャッターの向こうから、声。

逃げ遅れてしまったのか。

「ノロマめ」

悪態をつきつつ、彼はインバネスコートの内側から二挺拳銃を取り出した。

…いやそれは、拳銃と言っていいものか。

全長39センチ、重量16キロの、黒鉄と白銀の拳銃。

黒鉄の拳銃は『クライム(罪)』、白銀の拳銃は『パニッシュメント(罰)』という。

共に454カスール弾を使用する、学園長ヴラドの愛銃同様の化け物拳銃だ。

それらを携え。

「離れていろ、シャッターごと吹き飛んでも知らんぞ」

ダンドリッジはトリガーを引く!

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