天神の系譜の奇妙なオムニバス
「そっか。うん、わかった。じゃあリュー君は言わなくていいよ」

目を細めて微笑むティグル。

彼は踵を返す。

「古奈美さんって言ったね」

ティグルは、ここまで案内してもらった古奈美の方に歩いて行く。

「貴女は、リュー君を怪我させた相手を知っているのかな」

グリフィノーの一族として、あくまで平和的に。

確たる証拠もなく他人を犯人扱いしないし、それが女性であれば、極力高圧的な態度は避ける。

だが、ティグルの纏う気配は押し殺せない。

『リュートを怪我させた相手は許さない』

『その相手を隠し立てする者も許さない』

あくまで穏便に済ませようとするその態度さえ、古奈美に恐怖を感じさせた。

< 193 / 770 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop