天神の系譜の奇妙なオムニバス
「ねぇ古奈美さん」

ティグルが、古奈美の眼前にまで歩み寄る。

ティグルを慕うアマリリスさえ、思わず一歩引いてしまうほどの圧力だ。

「知っているのなら、教えてほしいな。隠すのは、ためにならないと思うよ?」

「あ…そ、その…」

小さく体を震わせる古奈美。

この少女にも見える青年が、怖いと思った。

自警団全員に叛旗を翻しても尚、怯まなかった古奈美が、1人の青年に恐れを感じる。

…その時だった。

「そこのお兄さん」

陽気な声が、ティグルの背中に届いた。

「ウチの隊員に何か?」

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