天神の系譜の奇妙なオムニバス

「そしたらさあ」

ティグルは続ける。

「古奈美も同意するんだよ。『私も自警団の騒動の時に、何度もリュート君に庇ってもらって…凄く頼もしかったです…私、リュート君と知り合えて本当によかったです』ってさ。あれは恋する乙女の瞳だね」

「こ、恋するって…」

柄にもなく顔を赤くするリュート。

「そんな事言ってたらね」

ティグルはビーチパラソルの下で寝そべっているアマリリスの姿を見ながら言った。

「突然、バンッ！ってテーブルを叩いてアマリリスが立ち上がって、物凄い剣幕で怒鳴るんだよ。『昨日今日リュートに知り合っただけの貴女達に、一体何が分かるっていうのっ？知った風な口を利かないで！』…だって」

「ア、アマリリスがそんな事言ってたのか」

驚くリュート。